皐月賞
圧倒的な強さを誇り日本の競馬界を席巻したサンデーサイレンス産駒がいなくなって2年目。重賞を勝った馬が次走で簡単に負けてしまうという日替わりヒーローの誕生が多く、重賞2勝馬がマイネルチャールズただ一頭という混戦状態で突入したクラシック第1戦目の皐月賞。こんな「どの馬が勝ってもおかしくない状況」の皐月賞を制覇したのは、積極的な競馬をしたアグネスタキオン産駒のキャプテントゥーレだった。
~勝ったキャプテントゥーレは~
逃げて好成績を収めてきたノットアローンに、スタート後に引っかかってしまうショウナンアルバなどなど、逃げる可能性のある馬はそれなりにいたはずだが、両陣営のレース前のコメントでは「ハナにこだわらない」や「折り合いはつけれる」など、あまりハナには拘っていない様子。それを踏まえた鞍上の川田騎手はスタートすると積極的に追って追って先手を主張してみる。するとノットアローンがスタートで出負けして行き脚が付かなかった事やショウナンアルバは折り合いに専念するためにフワッとスタートした事はあったものの、あっさりとハナを奪取できてしまった。こうなればシメたもの。キャプテントゥーレはそこからマイペースに落として1000メートルの通過は1分1秒7。例年の皐月賞と比べるとスローペースではあるが、良馬場発表も水分を含んだ力の要る馬場だった事を考えると平均ペースであったろう。それでも皐月賞にしては出入りが少なく落ち着いていた。この流れ味方につけたキャプテントゥーレは800メートル地点過からスパート開始すると、勝負所の4コーナーカーブに当たる残り3ハロン目を巧みなコーナーワークにより11秒2という最速ラップを刻んでアドバンテージを作る。最後の直線ではその差を縮める馬はおらず、2馬身半の差を保って優勝した。
上にも書いたけれど・・・、
途中でショウナンアルバが引っ掛かって上がっていくというハプニング(?)はあったものの、皐月賞にしては出入りの少ない競馬だった。重賞毎に違う勝ち馬が登場するため自分の馬がどの程度の能力があるのか把握できておらず、どの馬も「上手く競馬をする」という意識が強すぎたのかもしれない。このような状況であるから、自分の馬に自信を持ち積極的な競馬をした騎手・馬に勝利の女神がほほ笑むのは当たり前か。

今年の皐月賞はどの馬にも勝つチャンスのある混戦であり、それ故に勝ったのは川田騎手の好騎乗の結果と考えがちだが、このような状況で上手く競馬ができるというのが強い馬というものを形成する一要因となるであろう事を考えると、キャプテントゥーレの皐月賞優勝は決して「展開の利と川田騎手のファインプレー」だけでは片づけられないだろう。距離不安で人気が落ちるようならばダービーでも積極的に買いたい・・・と言いたいところだったが、残念なことにレース後に骨折が判明。復帰は来年となる見込み。正直、この時期の骨折は痛いが、これを糧にもう一回り大きくなって帰ってきてほしい。
~3着だったマイネルチャールズは~
皐月賞と同じ舞台で行われる京成杯と弥生賞の勝ち馬。この他、同じコースで行われるホープフルSで優勝しており、世代随一と思われるコース適性と後ろから来た馬を抜かせない勝負根性、そして唯一の重賞2勝馬という実績を買われて堂々の1番人気に支持されたが、最後の直線では逃げたキャプテントゥーレを捕まえられず、内から伸びたタケミカヅチに足元を掬われて3着という結果に・・・。弥生賞のようにスローならば前で競馬ができるし、京成杯のようにペースが速ければ後ろで競馬ができるという自在性も売りだったはずも、レース後、鞍上の松岡騎手から出たコメントは「スローで動くに動けなかった」というニュアンスのものだった。考えてみればペースの違った弥生賞と京成杯もともにマイネルチャールズ自身は61秒後半というほとんど同じペースで1000メートルを通過している事から、両レースでの位置取りの違いは「自らが積極的に動いた結果」ではなく、「どちらも自分のペースを守って走った結果」だった可能性も。そう考えれば京成杯や弥生賞で受けた印象よりも柔軟な自在性はなかったのかもしれない。
が、昨年、惜しいところで栄光を逃し、今回は1番人気に騎乗するという鞍上の松岡騎手の心理状態を考えれば、他の騎手よりも「皐月賞を勝ちたい」という気持ちが大きかったであろう事が推測できる。それ故に少し大事に乗りすぎてしまったという印象も捨てきれないだろう。1年に1回。チャールズにとっては1生に1回しか走れない皐月賞。そのプレッシャーが馬の能力や状態だけではなく、騎手の心理にも影響を与える。競馬の奥の深さを垣間見た一戦だった。今後はダービーという事になるだろうがチャールズが末脚勝負に不安を残す事を考えると、今度こそ積極的にレースを進めなければ皐月賞よりも悪い着順になるだけ。皐月賞を取り逃して腹を決めた松岡騎手がどんな騎乗をするかに注目したい。
~14着に敗退したショウナンアルバは~
今後を見据えるという意味でトライアルから抑える競馬を試みていたショウナンアルバ。前走はそれが失敗して3着に敗退。しかし「スタートをフワッと出せば引っかからない」という事で、今回はそれを実行してレース前半は見事に折り合ったのだが・・・。アルバの「いつものように走りたい」という気持ちがそうさせたのか、3コーナーに差し掛かる一歩手前で我慢しきれずに暴走すると、その影響で見せ場もなく14着に敗れてしまった。引っかかると言ってもレース中ずっと引っかかるわけではなく、後半は必ず折り合う馬。それで今まで結果を出してきたことを考えると、クラシック第1冠である皐月賞という大舞台でアルバにとって未知数である「抑える競馬」をする必要があったのかどうか。レース後、鞍上の蛯名騎手から「湿り気の多かった馬場も向いていない」とのコメントがでていたが、それを差し引いたとしても今回の騎乗で馬の実力を完全に引き出せたかどうかは疑問であり、大敗の原因には「人間側がアルバを信じ切れていなかった」という面が大きく影響しているのではないか。
今後はダービーに向かうようだが、今回、抑える競馬をして結果を残せなかっただけに皐月賞よりも競馬が難しくなってしまったように思われる。ダービーではいったいどんな競馬をするのか。皐月賞を勝ったキャプテントゥーレが故障で離脱してダービーも混戦模様。ただ、混戦だけに自信を持って乗れば勝つチャンスは残っているはず。強い競馬を披露した共同通信杯と同じ舞台。皐月賞を教訓にダービーで結果を残してもらいたい。
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Tracked on 2008.04.25 at 03:23 AM


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