夏競馬が終わりいよいよ秋競馬が開幕。しかしそんな決まりごとはどこ吹く風。競馬場には真夏を思わせるような日差しが降り注ぎ、まだまだ夏競馬の延長線上にあるそんなハンデ重賞・京成杯オータムハンデ。そんなレースを制したのは「中山マイル戦において不利」と言われる大外枠に入った桜花賞馬キストゥヘヴンだった。
~勝ったキストゥヘヴンは~
2年前にこのレースを制しているステキシンスケクンに、アーリントンCを逃げて制しているダンツキッスイ。朝日杯FSを絶好のスタートから逃げて押し切ったゴスホークケンなどが集まり、簡単にハイペースが予想できた今年の京成杯AH。
しかしダンツキッスイもゴスホークケンも近走不振。「2頭とも競馬に迷いがある。意外とシンスケクンが楽にハナを奪える展開もあるのではないか?そうなれば例年通り先行馬有利だろう」などと穿った見方をしてみたものの、蓋を開けてみればシンスケクンが立ち遅れてもやっぱりハイペース。しかも前半3ハロンを32秒8という、1200メートル戦でも速い超の付くハイペースなのだから驚かされる。こうなれば「中山マイル戦の外枠不利」などという枠順の有利不利など関係なし。大外枠からポンとスタートしたキストゥヘヴンと藤田騎手は、前半はやりあう先行勢を見ながら中団での競馬に徹すると、11秒9と、ペースの落ちた5ハロン目のところで外から捲るように前に進出。鼻につけた白くて浅いシャドーロールを上下させながら絶好の手ごたえで4コーナーを回り、最後の直線へ。さすがに開幕週で馬場の状態がよい中山競馬場。馬場の中目から内に進路を取って飛び出したレッツゴーキリシマの必死の抵抗にあうも、そこはG1馬。坂を登っても脚は衰えず、その切れ味でキリシマをきっちり競り落として完勝した。
今回の勝利は2006年桜花賞以来、実に2年半ぶりの勝利。この鮮やかな重賞勝利で「桜花賞馬復活」などと書かれることもあるが、もともと脚質的にスローで流れれば届かないだけで、不振に陥っていたわけではなかった。今後も安定性に関しては不安を残すものの、このようなタイプはハマれば牝馬限定戦も牡馬牝馬混合戦も関係ない。4勝のうち中山で3勝と、中山が大の得意。またペースが速くなりやすいマイル前後のレースが合ってはいるが、フラワーカップのフサイチパンドラ、桜花賞のアサヒライジング、京王杯SCのインセンティブガイ、そして今回のゴスホークケンと、彼女の末脚をアシストする馬がいる時はどんな競馬場でも距離でも軽視は禁物だろう。
~2着だったレッツゴーキリシマは~
父か母父にノーザンダンサーの血を持つ馬が得意なレース・京成杯AH。今年はこの条件に当てはまる馬が多くおり、結果として1着から5着までそのような馬達が占めたが、その2着を構成したのがメジロライアン産駒の3歳馬・レッツゴーキリシマ。
引っかかる面があるので今までは「逃げ」が基本戦法。確かに自分でレースを作れる強みはあるものの、それが逆に「自分でレースを作らなくてはいけない」という重荷ともなっており、厳しいレースの連続。3歳になってからは大きな舞台でそのプレッシャーと常に戦ってきた。しかし今回は、そのプレッシャーを玉砕気味に飛ばすゴスホークケンや、それに追随するダンツキッスイに譲り、彼らを見る形で離れた3番手~4番手で折り合う事に成功。各馬が仕掛け始めた3コーナー過ぎでも慌てず仕掛けをワンテンポ送らせ、直線に向いたところで満を持して追い出した鞍上の北村宏騎手の好騎乗も光り、最後の直線ではハイペースで脚の止まった先行馬達の間をスルスルと力強い脚で抜け出して先頭に躍り出た。残念ながら最後はG1馬の末脚に屈するう形となったが、古馬相手に休み明けでこれだけの競馬ができたのは非常に大きな収穫と言えるだろう。
朝日杯で2着になった事もあるように中山は本当によく走る。キングマンボと並び道悪巧者のメジロライアン産駒だが、道悪でなくてもパワーの問われるレースでは能力を発揮できる。そしてそのような舞台が中山に出現しやすいのだろう。ただし、問題は気性。今回はうまく折り合ったが、それが一夏越して成長した証なのか、ペースが速くてたまたまだったのかはまだ謎のまま。基本的に逃げ・先行馬はスローペースの方が有利だが、レッツゴーキリシマの場合、スローだと引っかかって自滅する可能性も捨てきれない。ペースの速い底力勝負の方が信頼度は高いだろう。
Recent Comments